Strasbourg St.Denis アドリブソロ解説

ども。ベーシストのハリマです。
今回はセッションスタンダードのStrasbourg St.Denisでのアドリブソロのアプローチ方法やアイデア、また僕のソロの解説していきます。
コード
コード進行
まずコード進行を見ていきます。
8小節のシンプルなループになります。

アナライズ
次にコード進行をアナライズしていきましょう。

F7♭9以外はダイアトニックコードになります。
F7♭9はⅡm7に向かうセカンダリードミナントになります。
ホリゾンタルなアプローチで使えるスケール
次にホリゾンタルなアプローチで使えるスケールを考えていきましょう。
-ホリゾンタル-
可能な限りひとつのスケールでアプローチする方法。
横を意識したフレーズとも言えます。
メジャースケール、マイナースケール
まず、キーがA♭/Fマイナーなので
・A♭ Ionian Scale (メジャースケール)
・F Aeorian Scale (ナチュラルマイナースケール)
が使えます。
この2つはrelative keyの関係なので、主音が違うでけで全く同じ音になります。

ペンタトニックスケール
メジャー、マイナースケールから2音減らしたペンタトニックスケールも使えます。

ヘキサトニックスケール
マイナーペンタトニックスケールに1音足したヘキサトニックスケール各種も使えます。
まずFマイナーペンタトニックスケールに♭5を足したブルーススケール。

他にも9th,♭13を足したものも使えます。
この2つはナチュラルマイナースケールから1音減らしたとも考えることができます。

バーティカルなアプローチ
次にバーティカルなアプローチをする場合に使えるスケールを考えていきましょう。
-バーティカル-
各コード単位で使えるスケールを使ってアプローチする方法。
縦を意識したフレーズとも言えます。
ダイアトニックコード上で使えるスケール
まずはダイアトニックコード上で使えるスケールを整理してみましょう。

これを踏まえてStrasbourg St.Denisのコード進行をアナライズしたものに当てはめてみます。

F7♭9以外はダイアトニックコードになるのでこのようになります。
問題はノンダイアトニックのF7♭9になるかと思います。
ドミナントモーションするⅤ7上で使えるスケール
まずドミナントモーションするⅤ7で使えるスケールを考えていきます。
このドミナントモーションする際のⅤ7上で使えるスケールは多岐に渡りますが、△3rdとm7を含んでいるスケールで9thの音が『♭9th』か『9th』かで大まかに分けることができます。
・マイナーに解決する時は『♭9系』が使える。
・メジャーに解決する時は『9系』『♭9系』両方が使える。
と覚えておきましょう。
主なスケールとして以下のスケールが挙げられます。
【9系】
Mixolydian
Lydian♯11 Scale
Wholetone Scale
【♭9系】
Hmp5↓ (Phrygian Dominant)
Altered Scale
Half-Whole Diminished Scale

F7♭9上で使えるスケール
これらを踏まえてノンダイアトニックコードであるF7♭9で使えるスケールを考えてみましょう。
ここで重要なのは「解決先がメジャーかマイナーか」ということ。
F7♭9はB♭m7(Ⅱm7)へとマイナーに解決するセカンダリードミナントになっていますので♭9系の
Hmp5↓ (Phrygian Dominant)
Altered Scale
Half-Whole Diminished Scale
といったスケールが選択肢になってきます。
他にもダイアトニックコードであるE♭7(Ⅴ7)もA♭M7(ⅠM7)へと、メジャーに解決しているドミナントセブンスコードなのでMixolydian以外にも上記であげた『♭9系』『9系』どちらでも選択肢に入ってきます。
模範演奏の解説
ここからは冒頭の模範演奏の美味しいポイントを解説していきます。
まず解説を書き込んだ動画がこちら。
まずはピックアップのフレーズから。

F Altered Scaleを使ったフレーズで、青線部分はAltered Scaleの△3rdをルートに見たAMaj9♯5(A Lydian♯5)を意識したフレーズになっています。
F Altered ScaleとA Lydian#5 Scaleは音自体は全く同じになります。

あえて違うコードやスケールを想定する事で、Altered Scaleを使ったフレージングとはまた違ったサウンドにすることができます。
また違うコードを想定する事で、テンションを狙ったフレーズにする事もできます。
F7♭9上でAMaj9(♯5)を弾く事で以下のようなテンションを含むことになります。

1~4小節

マイナーペンタトニックスケールに1音加えた、ヘキサトニックスケール中心のニュアンスを生かしたフレーズ。
♭5/m6/m2のどれかをプラス1音して、それぞれ切り替えるイメージで僕は使ってます。
すると赤で囲ったような同じ音形ができ、これを中心にフレージングしてます。

※m2は正確にはプラスというより、ルートを一瞬揺らすような使い方でのみ使えます。(m2は普通にアウトするので...)
逆にいうと♭5やm6はもっと目立つように弾いても良いですね!今回は使ってませんが9thを足してもOK!かっこよくなります!
9小節目

B♭m7(Ⅱm7)の代理コードであるD♭Maj7(ⅣMaj7)を使ったフレーズですが、このD♭Maj7(ⅣMaj7)のP5thを♯5に変化させたフレーズ。
スケール的にはD♭Lydian♯5 Scaleとなり、イコールB♭ Melodic Minor Scaleになります。
なのでB♭m7をB♭mM7にリハモしてB♭ Melodic Minor Scaleを使ったフレーズとも言えるかも。
Ionian ScaleやLydian Scaleを使うところをLydian♯5 Scaleに変化させるようなフレーズはHadrien Feraudがこのソロで頻繁にやってて影響を受けました。
15小節目に出てくるA♭Maj7上でも同じアイデアを使っています。

12小節目

12小節目のF7♭9ではD♭ Mixolydian ♭13 Scaleを使ったフレーズとなっています。
F Altered Scale=D♭ Mixolydian ♭13 Scaleとなっていて、F Altered Scaleとはまた違ったフレージングができるアイデアです。

最後に
以上、Strasbourg St.Denisでのアドリブソロでのアイデア、また僕のソロの解説でした。
Strasbourg St.Denisもセッションの大定番なのでソロが回ってきても慌てなくていいように練習しておく優先度は高いかと思います。
あと普通に良い曲ですよね!ロイハーの演奏もめちゃくちゃかっこいい!
ぜひぜひ練習してみてくださいね!
ありがとうございました。
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Example Of Bass Solo #11 (Strasbourg St. Denis)
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